10バガー振返り(第2回ベイカレント・コンサルティング)

10バガー振り返り

はじめに

「10バガー振返り」は、過去に10倍以上に成長した銘柄の時代背景やビジネスモデルから成功要因を分解し、またどのような決算を出してどのように株価は動いたかを解析することで、現在の成長株投資に生かすための学びを抽出していくものです。

第2回目は、直近のコロナ禍を契機に爆速で10バガーを達成したベイカレント・コンサルティングについて10バガーの達成要因とそこから得られる学びについてまとめたいと思います。

ベイカレント・コンサルティング社の紹介: 事業と操業の始まり

株式会社ベイカレント・コンサルティングは、2014年に設立された日本に本社を置くコンサルティング会社です。(母体となるピーシーワークス創業は1998年、その後MBOを経て同社が設立)

2023年現在は、従業員数約3300名、売上760億円超の日系最大手のファームとして、東証プライムに上場しています。純利益の年平均成長率は約75%と極めて高い成長を実現しています。

ベイカレント・コンサルティング社は、様々な業界の企業が抱える経営課題を解決し、成果を生み出すことで、クライアントの持続的な発展に貢献することを経営理念として掲げています。そのために、高い専門性と幅広い知見を持つコンサルタントがチームワークを発揮し、最適なソリューションを提供することを事業の特徴としています。また、デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティなどの時代の要請に応えるために、最新の技術や知識を積極的に取り入れることも事業の強みとしています。

主要な事業エリアは、金融、製造業、ヘルスケア、リテールなど、幅広い業界にわたります。それぞれの業界に対して、同社は特定の問題に対応するためのパーソナライズされた戦略とソリューションを提供しています。

急成長の背景

ベイカレント・コンサルティング社が急成長を遂げた背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の需要の拡大があります。コロナ禍を契機として、多くの企業がデジタル化に取り組むようになりましたが、その際に必要となるのが、戦略、IT、SIをワンストップで提供できるコンサルティングファームです。ベイカレント・コンサルティング社は、上流案件の獲得とITベンダーへの発注の透明性を高めることで、このニーズに応えてきました。

ベイカレント・コンサルティング社は、「ワンプール制」という独自の人材戦略を採用しています。これは、全コンサルタントが同一部門に所属し、案件ごとに最適なチームを編成するというものです。この制度により、コンサルタントのスキルや経験を最大限に活用し、クライアントの課題に対して柔軟かつ迅速に対応できることができます。また、優秀な人材の採用と育成にも力を入れており、直近(23年2月期)の平均年収は実に1110万円(平均年齢32歳)と高水準を維持しています。

以上のように、ベイカレント・コンサルティング社は、DX需要の拡大に対応するために、自社の強みである戦略・IT・SIの一体提供や人材戦略をさらに強化し、情報発信を通じてブランド力を高めることで、急速な成長を実現してきました。今後も同社は、「2026年2月期までの新・中期経営計画」で掲げた「日本発グローバルファーム」への挑戦を続ける予定としています。

株価推移

それでは株価の推移をみていきましょう。(株価はすべて分割調整後)

ベイカレント・コンサルティング社は、2016年9月に東証マザーズに上場しました。当時の上場価格は1株あたり196.3円でした。その後、業績の拡大やDX需要の高まりを受けて、株価は右肩上がりに上昇しました。2020年12月には、東証プライム市場に市場変更しました3。2021年1月には、株式分割を実施し同年9月には、上場来高値6,340円をつけました。

次にヒストリカルPERを見ていきましょう。

ベイカレント・コンサルティング社のPERは、上場後約12倍から約25倍の間のボックス圏で推移しました。

2020年2月期の決算発表後(コロナショック底値付近)には、PERが約9倍まで低下しましたが、その後、DX需要の高まりや株式分割の効果で、PERが約74倍まで上昇しましたが、これをピークとして2023年時点では30倍程度で推移をしています。

決算推移

続いて決算推移です。

2016年から2023年までの間に売上は年々順調に伸びており、特に2019年以降はその伸び率がさらに加速しています。これは同社の事業が市場に広く認知され、そのサービスが顧客から高い評価を受けている証拠と言えるでしょう。

次に、売上総利益率を見てみましょう。ここでも同様に、利益率は2016年の40.9%から2023年には55.8%へと順調に上昇しています。これは、同社がより高い利益をもたらすプロジェクトや顧客に焦点を絞っているか、または運営の効率化に成功していることを示しています。

営業利益もまた、2016年から2023年までの間に大幅に伸びています。特に営業利益率は、2016年の17.0%から2023年には38.2%へと大幅に向上しており、これは企業としての効率性と収益性が大幅に向上していることを示しています。

また、販管費も増加していますが、その増加幅は売上や営業利益の増加幅よりも小さく、経営効率の向上を示しています。

まとめ

ベイカレント・コンサルティング社の急成長と成功を分析することで、将来の投資戦略を立てる際に役立つ学びをいくつか得られます。

  1. 顧客を中心にしたビジネスモデル: ベイカレント・コンサルティング社は、顧客の成功を自社の成功と位置づけることで、高品質なサービスを提供し続けることができました。その結果、顧客のビジネス成長と共に自社の成長も実現しました。これは投資を行う際に、企業がどれだけ顧客に焦点を当てているかを評価する上で重要な示唆を与えます。
  2. 事業領域の広がりと深化: ベイカレント・コンサルティング社は、多角的な事業展開を行うことで、市場の変化に対するレジリエンスを高め、安定した成長を遂げることができました。将来の投資戦略を立てる際には、企業がどのようにして事業領域を拡大・深化しているかを検討することが有益です。
  3. 財務パフォーマンスと効率性の向上: ベイカレント・コンサルティング社の売上、利益率、経常利益などの財務指標は、一貫して向上しており、これは企業の効率性と収益性が同時に向上していることを示しています。同社の財務パフォーマンスと効率性の向上は、良質な人財の獲得とその育成拡大に密接に関連しています。人財を適切に選抜し、教育し、育成することにより、チームの生産性を向上させ、全体の組織効率を高め続けていると考えられます。

これらの学びは、未来の投資戦略を立てるうえで重要な視点を提供します。つまり、顧客志向、事業の広がりと深化、技術とイノベーションへの投資、そして財務パフォーマンスと効率性の向上、これらが高成長企業の特徴であり、投資判断の際の重要な要素となるということです。

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