10バガー振返り(第4回JACリクルートメント)

10バガー振り返り

はじめに

「10バガー振返り」は、過去に10倍以上に成長した銘柄の時代背景やビジネスモデルから成功要因を分解し、またどのような決算を出してどのように株価は動いたかを解析することで、現在の成長株投資に生かすための学びを抽出していくものです。

第4回目は、JACリクルートメント(2124.T)を取り上げます。

産業の進展と構造変化とともに、人材の採用・配置の重要性が増す今日、労働人口の長期的な減少が予想される日本の労働市場は大きな変化を経験しています。この厳しい状況を背景に、政府は女性の就労支援や既存労働者の転職促進など、労働市場を活性化するための様々な政策を展開しています。人材マッチングは、労働人口の減少と市場構造の変化に対応して、高い需要が見込まれる長期的なテーマとえます。

そんな状況下で、JACリクルートメントはどのような戦略を用い、そしてどのようなビジネスモデルを通じて、10倍以上の成長を達成したのでしょうか。そして、成長株でありながらも、配当還元にも積極的なJACリクルートメントの特異性は何なのでしょうか。

本記事では、JACリクルートメントの成功の背後にある要素を探ります。その洞察は、これからの成長株投資に生かすための学びを提供することを目指しています。

JACリクルートメント社のビジネスモデルと強み

JACリクルートメントは、専門職の求人広告に注力している人材紹介サービス企業で、その業務は求職者と雇用主がスムーズに接続できるプラットフォームを提供することにあります。同社は、ハイクラス人材紹介に強みがあり、ハイクラス転職市場では長らく業界シェアNo1の地位を保っています。また日本国内だけにとどまらず、海外企業に対しての人材マッチングサービスも展開しています。これらの特徴から、同社の受注単価は他競合に比べ高いという背景がありました。

「ハイクラス転職市場でのシェア」「グローバル」「高単価」これらがJACリクルートメントの業績を支えるキーファクターとなっています。

JACリクルートメントは、競合の人材マッチング企業との差別化のため、その初期の段階から求職者と雇用者双方に対して優れたエクスペリエンスを提供することに注力してきました。このアプローチは求職者と雇用者双方から高い評価を受け、次第にその評価は口コミを通じて広がり、会社の成長に一層の勢いを与えることになりました。

JACリクルートメントの見事な成長は、緻密な業界内ポジショニングと、全体的な人材市場の活況という二つの要素が組み合わさることで実現されました。創業当初から常に市場の脈動を読み取り、求職者と企業のニーズに最適に応えるための戦略を開発し続けることで、同社は人材サービス業界において重要な役割を果たすに至りました。その結果、求人市場に対して大きな影響力を持つことができ、業界の動向に大きく寄与することが可能となりました。

JACリクルートメントは、10倍以上の成長を達成する銘柄としては珍しく、配当に重きを置いています。配当性向は30%から75%と、業界内でも特に高い水準にあり、株主への利益還元に注力しています。2021年12月期は新型コロナウイルスの影響で売上利益が減少し減配をしていますが、その影響を除けば同社は連続して増配を行っており、株主に対する利益還元の姿勢を強く維持しています。

株価推移

JACリクルートメントの上場来の株価推移を見てみましょう。初動を示した2012年以降の動きを追います。JACリクルートメントは33.7%から72.9%の調整をはさみながら、上昇サイクルでは直前の下落を大きく上回る上昇をみせ、高値を更新続けています。2012年以降の安値137円を起点とすると、10バガーは2016年3月、20バガーは2019年5月に達成しています。

高値日付ピーク株価直近底値からの上昇率安値日付ボトム株価直近高値からの下落率
2012/04/264662013/08/17137-70.6%
2013/07/26896554%2014/02/4467-47.9%
2014/11/191012117%2015/01/22628-37.9%
2016/06/101849194%2016/09/161010-45.4%
2018/10/022655163%2019/01/041761-33.7%
2019/05/15326585%2020/04/06884-72.9%

次にヒストリカルPERを見ていきましょう。

2012年動意付いた後は、おおむね10倍から25倍の間で推移しています。2020年後半から21年にかけてのコロナバブルは以上値であったことがわかります。2023年7月時点は、20倍をやや下回る水準となっています。

決算推移

決算データを見ると、JACリクルートメントの業績は一貫して成長しており、特に2014年からの成長が目立ちます。売上は2012年の6,115百万円から、2022年には30,435百万円へと2020年のコロナ期を除けば、年平均121%とコンスタントに成長しています。

さらに、純利益も2012年の670百万円から、2022年には5,029百万円へと大幅に成長しています。特に2014年から2018年にかけての成長が顕著で、これはその間に売上が大幅に増加し、かつ利益率が高いレベルを維持していたことを反映しています。しかしながら利益率は2016年をピークにここ数年は低下しているようです。同社は2017年12月期決算資料で、求人の拡散による決定率の低下を原因と分析しています。

決算期
(12月)
2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
売上6,1157,1799,27911,20013,83816,04423,0642417021,61424,85230,435
前期比122.7%117.4%129.3%120.7%123.6%115.9%143.8%104.8%89.4%115.0%122.5%
売上総利益5,9297,0099,11210,89613,24015,29520,8012245320,08423,00428,043
総利益率%97.0%97.6%98.2%97.3%95.7%95.3%90.2%92.9%92.9%92.6%92.1%
営業利益1,3702,0192,6633,5194,7255,3095,53160875,1385,8227,044
前期比173.9%147.4%131.9%132.1%134.3%112.4%104.2%110.1%84.4%113.3%121.0%
営業利益率%22.4%28.1%28.7%31.4%34.1%33.1%24.0%25.2%23.8%23.4%23.1%
当期純利益6701,1931,5841,8113,2693,6853,9084,3541,8343,8825,029
前期比88.4%178.1%132.8%114.3%180.5%112.7%106.1%111.4%42.1%211.7%129.5%
純利益率%11.0%16.6%17.1%16.2%23.6%23.0%16.9%18.0%8.5%15.6%16.5%
株価170円720円833円947円1,317円2,185円1,871円1,943円1,892円2,084円2,429円
PER6.4倍17.8倍18.3倍11.7倍15.0倍22.8倍18.5倍48.1倍20.7倍17.3倍18.1倍
時価総額67.9億291億336億382億531億885億761億794億776億841億981億
JACリクルートメント決算情報サマリ(単位:百万円)

まとめ

  1. JACリクルートメントは、人材のマッチングという課題に対して特化したビジネスモデルを持つ企業であり、その強みはハイクラス人材紹介にあります。その結果、同社は高単価での取引が可能な求人市場のシェアを保持し、日本だけでなく海外企業に対してもサービスを提供しており、競合他社と明確に違ったポジショニングをとり高い成長率を継続することができました。
  2. JACリクルートメントは、求職者と雇用者双方に優れたエクスペリエンスを提供することに注力してきたことが成長の一因です。また主ターゲットをハイクラス人材に絞り込むことで、口コミを通じて評価が広がり、会社の成長を加速させることができました。
  3. JACリクルートメントは、10倍以上の成長を達成する成長銘柄でありながら、配当還元にも注力しています。その配当性向は30%から75%という高い水準にあります。設備投資を多く必要としない同社の特性を生かしたものであり、これにより投資資金を呼び込み、定着させることに成功しています。
  4. 株価推移と決算推移について:株価は、過去の下落を大きく上回る上昇を続けています。また、決算データからは、同社の業績が一貫して成長しており、特に2014年からの成長が顕著であることがわかります。その一方で、利益率は2016年をピークに若干下降傾向にあることから、今後は過去と同じ成長率を達成できるか疑問符が付き始めています。

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